令和4年度 はままつジェンダーラボ 「お気に入りの絵本をジェンダーめがねでのぞいてみよう!」 全2回講座

開催日・開催時間

令和4年 8月6日(土)、8月20日(土)いずれも10:00~12:00

対象

子どもに絵本を読んでいる又はこれから読みたいと思っている絵本に興味のある大人。(子育て中、孫育て中、読み聞かせ活動をしている又は今後やりたいと思っている。)

事業報告

今年度のはままつジェンダーラボのテーマは「絵本とジェンダー」です。子どもにとっての絵本・読み聞かせの大切さを知って、絵本をジェンダー視点で読む講座を開催しました。

当日は学生、子育て中、孫育て中、読み聞かせボランティアをされている方などさまざまな職業や活動をしている方に参加していただきました。年代も10代から60代以上と幅広く世代を超えた交流ができました。お気に入りの絵本の中にジェンダーを見つけ、自分自身のジェンダーバイアスや、身の回りのジェンダー問題に気づく講座となりました。

第1回の前半は、講師に林容子さん(静岡文化芸術大学非常勤講師・日本学校図書館学会静岡県支部副支部長)をお迎えし、「子どもにとって絵本とはどんなものか」についてお話していただきました。
林先生は、
・子どもと本の出会いは、その時を共に過ごす「読んでくれる人」がいて、その人と心が通ううれしい時間であること。
・本は、子どもの心に想像、感動、人生、発見、幸せ、知識、表現などいろいろな種をまくこと。
・字が読める子どもでも、読む力が聞く力に追いつくまで(11,12歳くらいまでの子ども)は、本への興味や信頼をつなぎ、知的、情緒的に子供の中の一番発達した部分を刺激するためにも、読み聞かせる(大人が読んでやる)ことが良いこと。
などを、実際に絵本や、参考書籍を例にあげお話しされました。
後半は、あいホール図書コンシェルジュの池谷が担当し、ジェンダーとは何か、絵本をジェンダーめがねでのぞくとはどういうことかを、お気に入りの絵本を例に説明しました。主人公の性別、言葉の表現、読み手のジェンダーバイアスの影響、性別役割分担の描写など、普段読んでいる絵本に、思いがけないジェンダーが見つかり、ジェンダー視点で読むことを新鮮に感じ、興味深くとらえてもらうことができました。

第2回前半は、ワークショップ「おひめさま絵本の読みくらべ」をおこないました。
グリム童話のおひめさま絵本と創作絵本のおひめさま絵本を読みくらべて、ジェンダー視点で読むとどんな違いがあるか、どんなことに気が付くかを話し合い、発表しました。「結婚が幸せの前提として描かれている」「(おひめさまにいきなりキス)女の人は男のものという思い込み」「一方のおひめさまは、受け身で意思がない」「美しいことが良いこととされている」「魔女は女性でひがみっぽく描かれている」などたくさんの意見が出ました。
後半は、ワークショップ「ジェンダーめがねでのぞいた絵本を紹介する」をおこないました。受講者が自分のお気に入りの絵本をジェンダーめがねでのぞいて作成したワークシートととりあげた絵本をもとにグループ内で紹介し、グループで一人ずつ全体で発表しました。「今まで、雄と思いこんでいた熊は、雄でないかも」「女の子の知恵と勇気のストーリーに気づいた」「女の子は弱虫でも泣き虫でもバカにされない、なのに男の子は・・・」「看護師は女性、バスの運転手は男性、花屋は女性」逆に「お母さんが運転士、お父さんか看護師」も絵本もある。「ミシンは女の子(女性)をイメージ」「力仕事は男性、炊事・育児は女性、下の子の世話はお姉ちゃんが」「女の子はスカート、ワンピース」など、受講者それぞれが自分のお気に入りポイントとともに、ジェンダー視点を発揮して熱のこもった発表をされました。

2回の講座を通して、受講者にとって身近な絵本を用いてジェンダーを考えること、自分のお気に入りのものの中にジェンダーを見つけることを体験し、ジェンダー問題が自分の身近にあることの気づきをもってもらえました。今後、この気づきを男女共同参画社会やジェンダー平等に反映できる取組みを提案、実行していきたいと考えています。

■あいホール図書コーナー  https://ai-hall.com/library/