令和4年度 男女共同参画フェスタ 講演会・交流会

開催日・開催時間

令和4年6月26日(日) 10:00~12:30

対象

テーマに関心のある一般市民、浜松市に登録している女性団体・あいゆうねっと


事業報告

令和4年度男女共同参画フェスタ
講演会:「婚活戦略 商品化する男女と市場の力学」
パネルトーク・交流会:「婚活をジェンダー視点で読み解く」
の実施報告です。

男女共同参画フェスタは、毎年、男女共同参画週間に浜松市内の女性団体・あいゆうねっと登録 団体(男女共同参画推進団体ネットワーク)を対象に、男女共同参画社会づくりの課題共有及び情報交換と連携の機会拡大を目指し開催しています。今回は、テーマに関心のある一般市民の参加も募り、市民と女性団体との交流をする良い機会となりました。

今年度のテーマは「婚活」。折しも6月14日に内閣府男女共同参画局から公表された「令和4年度版男女共同参画白書」の特集のテーマ「人生100年時代における結婚と家族~家族の姿の変化と課題にどう向き合うか~」と重なる部分が多く、タイムリーな話題提供の場となりました。

第1部は「婚活戦略 商品化する男女と市場の力学」の著者 東京都立大学大学院経営学研究科准教授 高橋勅徳さんの講演です。ご自身の婚活体験について経営学者視点から書かれた著書に基づく講演会です。
まず「婚活」という概念が、「少子高齢化を解消するために団塊ジュニア世代に現実的な(共働きを覚悟で)結婚を試みることを推奨すること」から、「女性が高収入の男性を配偶者として得る手段となり始めたこと」に触れられていました。ここに婚活支援サービス業者が介在することによって、前もって個々のスペックが明示された状態で恋愛感情の構築に集中でき、成婚へ・・・果たして、事はそううまく運ぶのでしょうか?
そしてここから
44歳でおおまじめに婚活に踏み出した高橋さんの実体験です。
〇年収(高年収)が設定されている(もちろん男性側の年収)婚活パーティーでは、開始5分で一番若くて男前の男性の前に女性の行     列ができ、その女性たちは、こういうパーティーは他にもあるから、イケメン以外と話すことは不要とし、会話をしてもらえなかっ     た。
〇婚活パーティーで、会話が弾みLINE交換後、お礼メッセージを送っても未読スルー後ブロックされる。
〇デートも重ねちゃんとした交際まで発展しかけた矢先、相手の女性に「私でもこんなに大事にしてもらって自信がついたし、だった     らもっと若くて上の人と恋愛して結婚するのを狙えるから、交際はやめたい」と言われた。極めつけに、彼女に見せた自分の写真に     一緒に移っていた男性を紹介してと言われた。
(詳しくは、ご著書をお読みください)
このような実体験を学術書として世に出すことによって、婚活をしていた時の「怒り」が昇華し、今後の婚活サービスについて、自分の取り組みについて考えるようになったそうです。結婚に求める価値が変化し、経済の壁を恋愛で乗り越えていくのは困難な社会になった今、婚活支援サービスの今後は、婚活市場の仕組みそのものを変えていく(サービスの再設計)ことが期待され、個人レベルでも、起業レベルでもどんな「シン・婚活戦略」がありうるかを現在執筆中、ご期待を。としてお話を締めくくられました。

第2部は、パネリストに第1部の講師:高橋勅徳さんと「ふじのくに出会いサポートセンター」相談員の加藤千里さんを迎え、NPO法人浜松男女共同参画推進協会理事長 道喜道恵さんを進行役に「婚活をジェンダー視点で読み解く」と題してパネルトークをおこないました。
加藤さんからは、「ふじのくに出会いサポートセンター」の概要の説明がありました。(公的サービスとしての役割、登録から成婚までの流れ、利用者数、利用料など) センターでは、お茶つみ体験など、観光地を利用したイベントを開催することで、通常の婚活パーティーよりも自然と人柄に注目するようになっているとのこと。また相手に対しての希望条件が高い方への対応について、加藤さんは、この結婚に望んでいることは何か?と登録者に質問し、条件を一緒に再考していくこともあるそうです。

高橋さん、加藤さんのお話の中で、東京では、地方と異なり数多くの婚活イベントが存在し、一日にいくつものイベントやパーティーに参加する場合もあり、1つがダメなら次!とチャンスがたくさんあり、理想の相手に出会えるまで何度も足を運ぶ方もいるようです。そのため、地方(静岡)の女性がチャンスを求めて都会(東京)に出向いてまで婚活するケースもあるようです。理想の相手を見つけるためには地元を離れても良いと考えます。地方自治体としては、女性の流出は大きな課題でもあるので、地方自治体が婚活事業を積極的に行うのは女性の流出を防ぐことも狙っているとのこと。

高橋先生には、会場からは婚活時代はどんな女性を希望していたのか?というような質問もありました。著書にあるような様々な経験を踏まえ、「条件というよりは、会話ができる人」と答えていました。今後、女性視点での婚活についてもまとめる予定だそうです。

その後、4~5人の参加者どうしで交流会をおこないました。自分の婚活経験を話す人や、婚活の現状に驚愕する人、高橋さんの実体験にから自分の婚活に役立てようとする人など、どのグループも有意義な交流の場となりました。

参加者からは、「男性の気持ちがわかった」「独身の娘を持つ身としえは考えさせられました」「大変楽しくあっという間でした」「婚活の過酷さに驚きました」「結婚したい人が結婚できるしくみがあるといいと思いました」「婚活も視かた次第でさまざまな学びやとらえ方があると思いました」「女性の視点も聞きたい」「高橋さんの最後のお話のように、婚活の進展が、結婚の価値の創出につながることを期待したい」というような声が寄せられました。

婚活というごく個人的であるが、社会的には大きな問題に影響をおよぼす事柄を、男女共同参画フェスタのテーマとして取り上げることができたことを嬉しく思います。ご協力いただいた皆さまに感謝申し上げます。今後も、皆様に興味を持っていただけるテーマを取り上げていきます。